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小規模企業共済の本当のところを検討してみた

公開日: 小規模・倒産防止共済

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経営者や個人事業主がよく加入する小規模企業共済を検討してみた。

恩恵を最高にうける最高税率を対象に、更に退職(他の退職金もなかった)は年初でその後その年は無職で無収入を前提とする最高の条件で検討する

税率50% 最高額月額7万円 30年加入 受取額の最高条件が掛金合計の120%(65歳以上15年以上支払)

7万円×12ヶ月=年間84万円

節税額=年間84万円×税率50%=×30年間=1260万円

掛金の120%が戻れば(年間84万×30年間×(120%-100%)の504万の利息的なものがつく。

節税と利息的なものを足すと1260万+504万=1764万円

1764万円の利息がつく。すごい!

貰うときには税金が必要だ。

(税金計算)

①収入 84万円×30年×120%=3024万

②退職所得控除 40万×20年+70万×10年=1500万

③退職所得 (3024万-1500万)×1/2=762万

④所得税+住民税 (762万×23%-63万=112万)+(762万×10%=76.2万) ※現状の税率で無職の場合

 

 最高の条件で得する金額は1764万-112万-76万=1576万

1576万円!

2520万円掛けて30年で1576万円(62.5%)の得。これはすごい。

 

・・・

 

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しかし!

2520万円+1576万円(得した額)=4096万円

この4096万円を複利で2520万円の現在価値に表すと

現在価値 = n年後のキャッシュ / (1+r%)^n

n=30年  r=1.6324

 

どういうことかというと、2520万を投資すれば1.6324%の金利で30年経てば、1576万円の利息がつく。

要するに2520万円あるお金を毎年84万円掛金支払すれば年1.6324%の表面利回ということだ。

最高税率50%とはいえ、貯蓄がない人もいるだろう。毎年84万円の所得を生み出し年間84万を掛金納付すれば一気に2520万投資した場合と計算が異なる。

計算方法は割愛するが毎年84万円を掛金納付した場合の利回りは3.1516%

難しい話をしたが

3.1516%を超える金利があれば、全ての人は節税の意味がなくなる。

 

結論として

所得に対する所得税率・住民税率にもよるが

  1. 小規模企業共済の掛金合計を既にもっているなら1.6324%(税引後)程度しかないため効果はない
  2. モデル世帯(4人家族)なら普通預金金利が1.3%(税引後)以上なら効果はなくなる
  3. 安定的に利回り3%(税引後)を超える投資商品が知っていたら効果は低い

が目安の数字で

  1. 小規模企業共済の加入メリットがあるのは投資余裕資金のない中間層(余裕資金があれば、1.4%程度あればそちらの方が効果が高い)
  2. 超富裕層は小規模なんかに入らず投資にまわすべき
  3. 原則途中解約ができないため、使いたくても使えない長期定期預貯金として有効

以上が結論

かなり良い条件でみた数字なのでもう少し低い率で考えてよい。(年間42万掛金で税率30%の人は1.6324%→1.358・3.1516%→2.651と読み替える)

経営者や個人事業主が対象の小規模企業共済。ある程度の貯蓄をもっている人が対象なので、実は毎年の節税額(小規模掛金総額×税率)程、得がないことが明らかになった。

 

 1/22の記事 小規模企業共済の節税のしくみ が一般的な節税効果だ

 

 

 

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